(住宅ローン体験談)新築中に死別した場合住宅ローンはどうなるの?

      2016/06/14


住宅ローンは非常に大きな金額を借入するものです。そのため、住宅ローンには通常、債務者が死亡した場合にローンの残債が0円になる団体信用生命保険がついています。一方、住宅の新築には着工から完成まで数カ月かかります。もし、建物を着工してから完成までの間に住宅ローンの債務者が死亡した場合どうなるのでしょうか?

実際の体験談も交えてご紹介します。


つなぎ融資と住宅ローン

まず、住宅を新築する時の住宅ローンの仕組みについてご説明します。通常、住宅ローンは完成した建物について融資がなされます。つまり、新築の住宅の場合建物が完成するまで住宅ローンの融資がなされません。

そのため、住宅の着工から完成までの間はつなぎ融資という制度を利用します。つなぎ融資はその名の通り、建物の完成から着工までの数カ月の間を「つなぐ」役割を果たすもので、住宅ローンとは別のローンと考えて問題ありません。

そのため、不幸にも住宅着工中、完成前に住宅ローンの債務者がお亡くなりになってしまった場合、つなぎ融資だけが実行されており、住宅ローンは実行されていないことになります。

つなぎ融資にも団体信用生命保険がある

つなぎ融資の取り扱いは金融機関によって異なるのですが、多くの場合つなぎ融資にも団体信用生命保険はついています。(逆についていない場合には注意が必要です!)

つなぎ融資は、土地代金、着工金、中間金といった形で数回に分けて融資がなされますが、債務者が亡くなった段階で、融資されていた分だけが適用となります。

例えば、土地代金が1,000万円、建物代金が2,000万円の場合で考えましょう。

4月1日土地代金のつなぎ融資実行で1,000万円

4月15日着工金のつなぎ融資実行で600万円

5月15日中間金のつなぎ融資実行で600万円

であった場合、5月10日に亡くなった場合は1,600万円分が団体信用生命保険の適用となり、5月20日に亡くなった場合は2,200万円分が団体信用生命保険の適用となります。

前者の場合は残額1,400万円が、後者の場合は残額800万円が手出しとなってしまいます。ただし、着工中に工事を取りやめて解約となれば全額を支払う必要はありません。この辺りは工事業者との話し合いが必要です。

(体験談)着工中にご主人が亡くなり残額を生命保険でお支払い

Aさんは建物の新築工事中に脳の障害でご主人を亡くしてしまいました。Aさん夫婦は共に50歳で高校生のお子様が2人。ご主人は前日まで健康に問題はなく、いつもと変わらず過ごしていたと言います。悲しむ時間もなくばたばたと葬儀を済ませている間も着工中の建物について不安に思っていたようです。

Aさんは会社に勤めており一定の収入がありました。そのため、住宅ローンもご主人を主債務者、Aさんを連帯債務者として2人で組むことにしていました。しかし、ご主人が亡くなったのは着工から2カ月半が経ったころ。あと1カ月もすれば建物が完成する、というタイミングでした。

建物は完成していないため住宅ローンは実行していません。しかし、団体信用生命保険がついたつなぎ融資を土地代金、着工金、中間金について受けていました。亡くなったタイミングで工事を取りやめれば契約金額より安い金額で解約することができる旨の説明を住宅会社から受けましたが、折角ご主人と一緒にここまで建ててきたので、できれば工事を完了させたいと話をしました。

住宅会社によると、住宅新築に掛かる費用全てを含めて足りない金額は1,000万円程でした。Aさんには定職があったので、改めて住宅ローンを組むこともできたのですが、相続手続きや保険関係の手続きで疲れきってしまったということもあり、もう面倒なことはこりごり、と、ご主人に掛けられていた保険で残額の支払いを済ませることにしました。


 

Aさんの場合、不謹慎な話ですがご主人が後1カ月元気であれば住宅ローンの実行を受けられ、住宅ローンの実行を受けていれば全額が団体信用生命保険の対象となっていました。Aさんには定職もあり、またご主人が残した保険金もありましたが、そうでないケースもあるでしょう。

Aさんに起こったことは誰にでも起こりうることとして、充分な備えをしておくことが大切です。

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